中村の考え

ショートケーキ型のアンサンブルと、戦闘機型のアンサンブル~アンサンブルする力

ジャズのアンサンブルは、戦闘機の編隊飛行に似ているように思う。
三機(トリオの場合は)の戦闘機が、時にはリードする一機を多の一機が追い越し、下に宙返りし、絡みあい、時には大きく離れて飛ぶ。
出発地点と目的地点は同じではあるが、そこに至る道は違う。
どころか、場合によっては墜落してしまうこともあるし、ぶつかってしまうこともある。
このような失敗は日常茶飯事なのだが・・・。


それとは違い、ショートケーキ型のアンサンブルというのもある。
ベースが一番下のスポンジで、ドラムがその次のクリームとスライスしたイチゴの入った層、ピアノのバッキングはその上のスポンジ層、そしてフロントはショートケーキのデコレーション部分を担当する。
それらが入れ替わることは決してない。
これは、ジャズ以外の音楽には往々にしてあるアンサンブルだ。
例えばファンクやフュージョン等は、ショートケーキ型のアンサンブルである場合が殆どだ。

言葉を専門的な言い方に変えると、ジャズは対位法的なアンサンブルを、ファンクやフュージョンは和声的なアンサンブルをする音楽だといえる。
ジャズは、各楽器が旋律を作り、それらが絡み合い一つの音楽となる。
ファンクやフュージョンは、各楽器が重なりあって一つのハーモニーとなる音楽なのだ。

ところが、多くの最近のジャズミュージシャンは、ジャズのアンサンブルにおいても和声的なアンサンブルを求める場合が多いように思う。
フロント奏者が自由にケーキの表面をデコレートしていくことを、他の奏者が支えている、というアンサンブルの形が現れることが多い。また、多くのジャズミュージシャン、特にフロント奏者が、リズムセクションにこの構造の範疇から出ることを好まないという傾向があるようにも思う。
最近のジャズはフュージョンだ、といった某ドラマーがいたが、僕もジャズのショートケーキ化が最近進んでいるように思う。

勿論、最近のアメリカでのジャズの流行の中で、階層的なものに変化している部分というのもある。本当に、フュージョンのようなジャズ音楽が生まれているのだ。
だが、ビバッブ創世からこちら、殆どのジャズアンサンブルはやはり戦闘機型のものが主流を占めると思う。

ジャズにおいて、ショートケーキ型のアンサンブルを取るメリットはいくつかある。
中でも最も大きなメリットは、形が大きく崩れることがないということだ。
つまり、失敗のないアンサンブルを構築することが出来るという訳だ。

わかりやすくいえば、ショートケーキジャズは、「お手軽」なのだ。
ベーシストはベースだけ弾いてればいいし、ピアニストもそう。
フロント奏者には各楽器のディレクションを統率する力も必要ない。
縦のアンサンブルだけ気をつけていればいいのだ。

僕にいわせればこれはジャズではない。
ジャズ風ミュージックだ。みりん風新味料のようなものだ。

ジャズとは本来、自分が進みたい方向を自ら示して、それをメンバーは了解し、そしてそこに自分の進みたい方向を呈示し、時には寄り添い、後ろからついて来ているかと思えば、大きく自分からリードする。
右の道を選ぶ人がいたら、あえて左の道を選んでみる。そしてそれがある地点で合流するのだ。もしくは合流しない場合もあるかもしれない。
その場合は登山道をそれて薮漕ぎしながら元の道に戻るか、場合によっては遭難。
ただ登山と違い、ジャズの場合、遭難したことも一つの作品になるのだが。

それぐらい、ジャズとは自由で、おおらかな音楽なのだ。

しかし、これらのことを、さらにスイングの流れを失わないで、立体的なアンサンブルをコントロールするというのは、非常に卓越したアンサンブルの力が必要だし、それを得る為には膨大な経験を積まなければならないだろう。
お手軽にはいかない。

断わっておくが、ファンクやフュージョンのアンサンブルが簡単な訳ではない。
ジャズのアンサンブルとは又違う力が必要だ。

ジャズのアンサンブルは、フレーズとフレーズの積み重ねによってなるものではない。
それらが緊張と緩和に裏打ちされた、強かなものでなければならないのだ。

ただ、はっきりいうとこのアンサンブルの方法は墜落の危険は非常に高い。
人前で大恥をかくことが多々あるのだ。
それらを、恐れてはいけない。
僕は今まで、多大な大恥をかいて来たし、これからもかきつづけるだろう。
だが、真のジャズの即興の境地に至るには、必要な恥なのだ。

さあ、一緒に戦闘機に乗ろう!!

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  1. 2007/09/14(金) 09:52:19|
  2. C
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

とかく時代はジェットやからね。
ジャズアンサンブルぐらいプロペラでゆっくりいくも良し、ですな。

切磋琢磨しましょね。お互い。

  1. 2008/09/27(土) 02:48:22 |
  2. URL |
  3. mako. #-
  4. [ 編集]

遅ればせながらコメントいたします。
私は先日のドルフィのライブを見に行った者です。楽しいライブでした。
戦闘機型ですね。了解しました。
自分も戦闘機でいきます。
できれば、ジェット戦闘機よりはプロペラ機が良いですね。
  1. 2008/09/26(金) 00:28:59 |
  2. URL |
  3. 月人 #kiz85iBc
  4. [ 編集]

私も乗っちゃう!

戦闘機型!まさに言い得て妙です。
この絡みがうまくいったときの爽快なキブン、
スリリングさがジャズの醍醐味と思います☆
  1. 2007/09/30(日) 11:51:33 |
  2. URL |
  3. しまぶー♪ #-
  4. [ 編集]

その戦闘機乗った!

嬉しい!後ろの席空けてよ、乗っちゃうよ。
神の思し召し、予定調和なんて面白くもない。
良い悪いは色々あるけど、フリージャズをやった連中もいた。やっちゃって、楽しめるところを見つけよう。そりゃあ、あるレベルを超えてからの挑戦だろうけど。
こっちとら聞き手だから、あおっちゃうよ!
  1. 2007/09/14(金) 17:52:17 |
  2. URL |
  3. かるろす #wBpbAf2s
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はい!
いつも墜落してばかりのわたしですが
頑張って乗ります!!
  1. 2007/09/14(金) 12:11:38 |
  2. URL |
  3. ぶたむら #-
  4. [ 編集]

遭難も作品になる......
過去、何度も そういうキースのコンサート見たことか(笑)
ジャズは勇気かね......
膨大な恥も必要なのですが...... 厚顔無恥な力技がジャズミュージシャンの才能でもありましょう。
  1. 2007/09/14(金) 12:09:33 |
  2. URL |
  3. 志六個 #6LV7VrnU
  4. [ 編集]

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