中村の考え

歌いたい曲を歌おう。和田いづみと久しぶりに共演して思ったこと。

先日、福岡のシンガー和田いづみと小倉の老人ホームで演奏した。老人ホームでの演奏は、無論、自分たちのやりたい「ライブ」ではない。いわば「営業」の仕事だといってもいい。
いづみの選曲は、クリスマスソングや、聞き慣れたスタンダードや、老人でも知っている曲が多かった。それは当然のことだろうと思う。だが、いづみは、たった一曲だけ、僕ですら知らないスタンダードを選曲していた。演奏がはじまり、50分のステージの最後から2曲目にセットされていたその曲を、ステージが押し気味であったこともあり、ぼくはその地味なマイナーキーのスタンダードを、省略することをいづみに提案した。
いづみは、いや、この曲は歌う、と言った。僕はそのとき了解した。いづみはこの曲を、自分の為に歌いたいのだ、ということを。
僕が和田いづみが、他の多くのシンガーと違うところはそこなのだ。
どんな営業の仕事であれ、自分の本当に歌いたい曲を、歌うべきなのだ。
そんな簡単なことは、実はそう簡単に出来ることではない。
そして、多くのシンガーは、それがそう簡単に出来ることではないことに、気付いてすらいない。多くの人はそれをわがままだと思っているのだ。
わがままを、押し切り通すことが、一つアーティストに重要なことだと思う。
僕はそういう和田いづみがとても好きなのだ。決して日本のトップに立つようなシンガーではない。本人もそのことは解っているだろう。だが、いづみのようなシンガーはそんなにはいない。彼女は歌うことをとても大事に思っているし、その想いを僕は大切に思っている。

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  1. 2013/12/19(木) 16:57:00|
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