中村の考え

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ピアノのペダリングについて。

ピアノのペダリングは奥深い。
ペダルの踏み方を知っているピアニストは少ない。ジャズのミュージシャンは特にだ。
ジャズライブハウスのペダルは本当にひどい状態になっているのが多い。
ペダルの踏み方を言葉にするのは難しい。が、まあ頑張ってなるべく言語化してみよう。

ピアノには三つのペダルがある。右から、サスティーンペダル、真中はソステヌートペダル、一番左はシフトペダルという。用途は一つ一つ全く違う。
この話は、ピアノの構造の話をしていたらきりがないので、ダンパーとハンマーの関係性ぐらいは知っている人対象として話を進めていくことにする。

ペダルは、その踏みしろを調整する必要がある。僕がライブの時にピアノの裏を触っているシーンを見たことがある人は多いだろう。あれはペダルの踏みしろを調節している。
僕がベストだと思っている踏みしろは、サスティーンペダルは紙一枚分遊びを作る。シフトに遊びがあってはいけない。基本的にソステヌートペダルはオンオフのスイッチなので、微妙なペダル操作は必要ないので踏みしろの調節は必要ない。が、軽く踏んで効果を発動する調節にしておいてくれるととても助かる。

サスティーンペダルのハーフペダルは、完全にダンパーを外してしまうだけではなく、ダンパーがが軽く弦を触っている状態を作ることにより、弦の減衰を通常より早めることが出来る。
結局ペダリングの話がしづらいのは、音楽のイマジネーションの再現のためにペダルはあり、ペダリングはある。ペダルを踏むための技術はない。だから、イメージを理解できる人にしか話せない。
ペダリングのイメージは、音色イメージに直結する。ピアノの音色づくりもペダリングも、技術ではない。イメージだ。

多くのピアニストは、サスティーンペダルを、音を繋ぐものだと思っている。音を繋ぐのは指の仕事だ。サスティーンペダルは響きを連続させるために使う。
例えば、バラードで、CmからF7へコードが変わるときに、多くのピアニストは、F7を弾いた瞬間にペダルを離して踏み変えるはずだ。
僕は違う。Cmの時に踏んでいたペダルは、F7を弾いてから踏み変える。
つまり一瞬僕の目の前のピアノの音は、CmとF7が混ざって聞こえる。つまり濁って聞こえる。
だが、ピアノから離れたところで聞くと、響きが連続して聞こえる。前者の踏み方だと、ピアノの響き全体が一旦途切れることになる。

前述した、サスティーンペダルに遊びが必要な理由は、遊びが少しあるほうが、ハーフペダルを踏み易いからだ。車のハンドルに遊びがあるほうが細かなハンドリングが出来るのと似たような理由だ。
ハーフペダルの使い方は、多岐にわたる。。ハーモニーを徐々に切り替えていくような時に濁りすぎてしまうのを避けるために使ったり、フォルティシモのアタックだけが欲しい時、響きを半分捨ててしまう為に使ったり、ハーモニーの音の厚みが大きくなり過ぎるのを避けるために使ったり、それらの利用目的は音楽的なイマジネーションに深く関わってくる。
ハーフペダルなどを効果的に利用する為にも、音はしっかりと指で押さえておく必要がある。
サスティーンペダルに乗せた音と、指で押さえた音が同時に鳴っていて、ペダルに乗った音はハーフペダルで徐々に消し、押さえた音だけを残す、等という効果を作ることが出来る。
つまり、サスティーンペダルは、響きのコントロールの為にあるのだ。


多くのピアニストは、シフトペダルの存在すら知らない。
大抵のライブハウスのピアノは、シフトペダルが調節されていない。サスティーンペダルと違い、シフトペダルは遊びがあってはいけない。1ミリ、いやその1/10の単位で無段階に完全にコントロールできる状態にないとならない。顕微鏡の倍率のつまみのような精密なコントロールが要求される。
シフトペダルは、踏んでいないときにハンマーについている弦跡から、踏むことにより弦跡から外れたところを打弦する為に使う。ハンマーについている弦跡からの距離により、音色がかなり変わってくる。
最終的には3本弦の弦一つから完全に外れるまでに調節することが(ピアノによっては)可能である。
いや、厳密には隣の弦に触るまでシフトの動きを大きくすることは可能だが、そうならないぎりぎりのところまで、シフトが動くように調整するように僕は調律師にいつも要求している。
僕は、演奏中絶えず左足をシフトに乗せて、必ず何かをやっている。
理論上完全に調整されたピアノは、シフトを100%踏みこんだ状態が一番音色が柔らかくなっているはずなのだが、実際には、シフトを100%踏みこんだところのハンマーにも弦跡がついていることがよくある。ゆえに、半分ぐらい踏んだところが一番ソフトな音色になるピアノも多い。そのピアノは勿論不完全調整だ。ピアノは引き算の楽器。100%の調整から、何%引かれているか、弾くことによって調整は崩れていく。
だからある程度はやむを得ない。
僕の音色の秘密のほとんどはシフトの取り扱いにあるといっても過言ではない。

シフトを踏んだ音のほうが、踏んでない音よりも良い訳ではない。ただ、音色は多彩になる。その音の多彩さもイマジネーションを育てる。そしてイマジネーションは音色そのものを育てていく。
よくある誤解としては、弱音ペダル、と和訳される故あり、小さな音を出す為にあると思われがちだ。それは違う。僕は、シフトを踏んだ状態で、フォルテを弾くことは頻繁にある。
シフトペダルは、音色を多彩にする為にあるのだ。

ソステヌートペダルは特殊なペダルだ。通常の演奏において使うことは稀だ。
ジャズでも使う人は僕以外見たことがない。
現代音楽になって初めて使われる曲があるぐらいだ。

ソステヌートペダルは、鍵盤を押さえることにより、ダンパーが外れた状態にある鍵盤のみを、ダンパーが外れた状態を維持するペダル。
僕の使い方としては、ソロピアノ等の時、ドミナントペダル(このペダルは音楽用語で、最低音にドミナントの音が連続する状態の事をさす。トニックペダルという言葉もある。サブドミナントペダルというのは聞いたことがない)等の時に、ドミナントの音を低音に残して使ったり、即興の時に、エフェクトの為に使ったり、頻繁に踏み変えて、通常ではありえないような響きの残し方を作ってみたり、または無音の状態で任意の和音を抑え、ダンパーだけ外して、そのほかの鍵盤を弾くと、その任意の和音のダンパーの外れた弦にその音が共鳴して、不思議なサウンドを作ったりすることが出来る。
他のペダルと違い、オンオフのスイッチのようなペダルだ。ハーフペダルのような用途はほぼない。
調整されていないことが多く、踏んでも外れてくれなかったり、踏んでない音まで外れたり、色んなトラブルの多いペダルでもある。

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  1. 2017/07/20(木) 23:40:43|
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